事業の背景
- 価値創造経済へ環境の変化の流れ -
産業構造審議会は、東日本大震災を契機としてエネルギー供給制約や急激な円高など新たな課題が発生する中で、「"「やせ我慢」から「価値創造」の経済社会への転換するための4つの構造転換(①企業戦略の転換、②産業構造・貿易構造の転換、③就業構造の転換、④社会システムの転換)が必要であるという方向を示した。
この背景となっている環境認識は「企業の経営立地環境の6重苦の中で産業の空洞化と国内雇用の喪失、さらに、中長期的には、人口減尐や尐子高齢化によって我が国の潜在成長力が低下し、かつてのような高成長の実現は困難となることも想定される。」という、地域経済に共通するものであり、「人材育成と雇用政策」は、4つの構造転換に共通する基本的な課題として位置づけられている。
一方で、都市の成長と企業の成長が表裏一体となって進んだ時代は終わり、経営の世界化と国際競争の激化の中で、企業活動の最適地化の動きが、企業活動と都市経営との幸せな関係を断ち切り始めている。
地域経済の推進力だったモノづくりは今後も地域を支え続けられるのか? 都市経営の方向とその仕組みは? 企業の経営革新と共に、改めて地域産業と都市の関係を問い直すことが必要となっている。
経済がグローバル化し、世界経済やシステムが巨大になればなるほど、それを支える部分は小さくなり、その各々の力は強くならなければならない『グローバルパラドックス』の時代にあって、改めて、地域力の源泉である中堅・中小企業の経営力の強化と、経営資源としての人材の確保・育成が重要課題になっている。
20年後、"ものづくりのまち北九州"が、今にも況して活力ある地域として存続をしていくために、地域社会が互いに支え合いながら、連携・協働して、中堅・中小企業の産業人材の育成とその活用システムの構築を図っていくことが求められている。